中国と西陣織—悠久の技が紡ぐ未来

中国と西陣織—悠久の技が紡ぐ未来

西陣織。

その繊細で華やかな織の技術は、遠い昔、中国から日本へと伝わり、時を経て京都・西陣の地で独自の発展を遂げました。その歴史を振り返ると、国家間での文化の交流がいかに平和の継続や芸術の発展に寄与するかがよく分かります。

そして今、岡本織物株式会社は、そのルーツをたどるように、中国へ向けて西陣織の魅力を伝える挑戦を続けています。

中国へ届ける西陣織の美

岡本織物株式会社は昨年、3度にわたり中国を訪れました。

  • 2024年5月 上海の喜樾无间·生活美学馆での展示会。この展示場は、洗練されたインテリアデザインを求める富裕層の注目を集めており、西陣織の新たな可能性を示す場となりました。

西陣織 金襴 真珠粉本銀箔模様引箔 独楽繋ぎ紋様 タペストリー

  • 2024年6月 中国最大級のデザインイベントDesign Shanghai(設計上海)へ出展し、現地のデザイナーや企業と交流を重ねました。

西陣織とデザイン上海2024

  • 2024年9月 西安のSong CASAにて、伝統とモダンが融合するインテリア空間に西陣織を取り入れる可能性を探りました。西陣織と西安

西安のSong CASAでは除幕式にも呼んでいただきました。(緑色のズボンの者が弊社のテキスタイルデザイナーです)

これらの取り組みを通じて、中国の超富裕層へ向けて西陣織の価値を発信してきました。中国では、一度評価されると人が人を呼び、口コミの力で広がっていく傾向が強く、昨年の展示会を通じてその影響力を実感しました。

さらに、中国の若い世代が「伝統」への関心を高めている点も印象的でした。一度途切れてしまったかと思われた古くからの伝統を再評価し、自ら掘り返している姿勢が見られ、西陣織のような職人の手による作品に対する熱い思いを感じました。

評価された技術と商品の課題

展示会では、岡本織物株式会社の「順引き模様引箔」の技術が高く評価されました。この技術ならではの質感は、中国のデザイナー、メディアや富裕層に強く響きました。

一方で、クッションなどの日用品は価格がネックとなることが判明。西陣織の価値を伝えるには、高級インテリア市場の特性に合わせた提案が求められます。価格競争に陥るのではなく、その価値をどう理解してもらうかが課題となっています。

高級インテリア市場における伝統工芸の需要は確実に存在し、そこに西陣織が新たな光を放つことができるのではないか—そんな期待を胸に、挑戦を続けています。

Beyond Craft Japan—伝統を超える挑戦

今年も岡本織物株式会社はデザイン上海 2025 Beyond Craft Japan」へ出展します。この展示会をきっかけに、より長期的な展開を視野に入れた活動を進めていく予定です。

特に目指しているのは、小物類ではなく、布地を反物の形で中国へ輸出すること。

これまでの展示会では、西陣織をインテリアとしての視点から提案してきましたが、布地としての販売を強化することで、新たな市場開拓へとつなげていきたいと考えています。

これは、単なる展示の場ではなく、日本の伝統工芸を未来へ繋ぐ挑戦の場だと心に刻み込んで出発します。

西陣織の技術、染織の美しさ、そしてモダンデザインとの融合。それらを中国の市場に示し、新たな可能性を広げる機会となるでしょう。

中国へ西陣織を伝えていきたい。その願いは、ただのビジネス戦略ではありません。文化を紡ぎ、未来へ橋をかけること。それこそが岡本織物株式会社の使命なのです。

困難を乗り越え、西陣織を届ける

異なる市場、異なる価値観、異なる慣習、そして言語の壁—中国へ西陣織を届けるには、数々の困難が待ち受けています。

しかし、西陣では何百年もの間、幾度もの困難を乗り越え、その技術と美を受け継いできました。だからこそ、岡本織物株式会社は諦めません。伝統を未来へとつなぐため、中国市場へ西陣織を届ける努力を続けていきます。

伝統とは、受け継がれるだけでなく、新たな形で生まれ変わるもの。西陣織が中国市場で息づく未来を信じ、これからも挑戦を続けていきます。

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