巌を砕くか 清滝川に芽吹いたもみじの新芽

こんにちは。京都西陣の金襴織屋、岡本織物です。折角の週末なのに京都は朝から雨降り。ちょっと降ったり止んだりと湿度がどんどんあがっています。
海の遠い京都ではこんな日はちゃちゃっと冷たい川で水遊び。と書きたいところですが仕事なので先日撮った写真を見て自分を慰めます。

清滝川 もみじの新芽
清滝川 もみじの新芽

京都に清流は北のほうに行けば結構あるのですが、道が曲がりくねっていたりして中々大変です。一番身近で行きやすい川。それは清滝川。京都府北区・右京区を流れる淀川水系桂川支流の一級河川です。そこの川で上の画像のもみじの新芽を見ました。

こんな大きな岩のちょっとした割れ目に丁度着地して(もみじの種ってくるくる回りながら降りてきます。あんなふらふらで降りてくるのにこんな所に上手に着地しはって、おばちゃん、感動するわ(涙))増水にも流されず耐えてきたもみじの種がこのようなところで芽吹いているなんて・・・。他の葉は草なので特に感慨を抱きはしなかったのですが、もみじは大きな木になります。このまま上手く成長できれば何年か後にはもみじの根がこの岩を割りあたりの景色が変わっているかもしれません。それまでがんばれるか!?もみじよ。

小さなことですが感動しました。

今は西陣織業界の不安定さと言えばこのもみじの新芽くらい寂しい状態ですが、いつか巌の割れ目に入り込んで根を割る勢いで精進して織り続けて行かないとあかんな、と思いを抱きました。西陣の場合は完全分業制なのでわが社一社だけでは織る事ができません。すべての職人が世代交代しながら技術を受け継ぎ、口に糊をできるように我々壮年期の者が考えないとあきません。どこの職人も高齢化が進み、大変なのです。物つくりをしている友人と会うたびに「職人が・・・。職人の高齢化が・・・。子供は継がないの?」などという会話になってしまい・・・。職人は地味な仕事ですしね・・・。織屋もこのようにサイトなどを立ち上げて、作ったものをUPしていると派手に見えるのかもしれませんが、実際はかなり地味な職業です。紺屋の白袴そのままの生活。

若い人たちが、「俺が、私が伝統工芸の危機を救う!」「染屋になる!」「整経屋になる!」「糸繰りならまかせとけ!」等とどんどん各職人に弟子入りしてきてくれたらいいんですが。その為には文化をつかさどるお役所関係の方々にはどんどん「新弟子補助金」のようなものを設定して欲しいなあ。

今日も西陣金襴織屋は織ります。皆様も暑さに負けず、過ごしましょう。

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