こんにちは。京都・西陣で金襴(きんらん)を織っている西陣岡本(岡本織物株式会社)です。
私たちは、寺社仏閣へ納められてきた金襴の現場を、自分たちの目で見て学び、記録し、次のものづくりへ活かすために、各地の「金襴探し」を続けています。
今回は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島へ。青い海と空、風、そして島の空気。想像通り、いや想像以上に美しい島でした。
行くべき場所として教わった「天空霊場 西の滝龍水寺」
多摩美術大学で講師をされている織咲 誠先生が小豆島へ頻繁に行かれていると知り、「行くべきポイントを教えてください」と伺ったところ、いくつかの候補の中に「天空霊場 西の滝龍水寺」がありました。これはもう、行くべし。
※所在地の確認はこちら(Googleマップ):天空霊場 西の滝龍水寺
織咲先生は、アートとデザイン、グラフィックとプロダクトを横断して制作される方。
段ボール工作をしやすくするためにor-itaという折り線ツールまで自作されていて、私も購入しました(到着したら工作を楽しむ予定です)。
断崖の上へ。西の滝龍水寺に到着
西の滝龍水寺は、かなり山の上。途中まで車で上がれるとはいえ、私には断崖絶壁に見えました。
階段を登った先の門には「太麻山慈眼院龍水蜜寺」。密教寺院の気配が一気に濃くなります。
門だから油断していたら、まだ階段がありました。
けれど、がんばって登ると、とてもかっこいい建築が迎えてくれます。
現在はコンクリート造りですが、昔は木造だったそうです(火事を何度か経て、今の姿になったとのこと)。
行者さんがいかにも修行されそうな断崖絶壁。金襴織屋としては、まず掛けられている鮮やかな五色の布に目がいきます。
寺院の空間で色布が映えるのは、やはり強い。
太麻山と偏額に書かれた本堂をお参りします。
カリスマ弘法大師。
足跡が日本各地に残っている方ですが、ここにも、しっかりいらっしゃいました。
探していた金襴、見つけました
中のお堂には、私が探していた金襴が掛かっています。
業界では定番として知られている菊桐唐草紋様。
寺院の空間で見ると、定番が「定番である理由」がよく分かります。
ご本尊は十一面観音像のようで、御真言は「おんまか きゃろにきゃ そわか」。
洞窟の奥に「弘法大師加持水」
そこへ現れたのが龍應行者さんで、「ここ入っていかはり」と教えてくださいました。
洞窟。
修行のための人工?自然洞窟?
「弘法大師加持水」と書かれた看板が立っています。
中は暗くてぼけていますが、不動明王が祀られていました。
「龍水」という自然の泉が湧いているそうで、龍水を入れるボトルもありましたので一ついただきました(100円)。
龍應行者さんのお話によると、この西の滝の地は火山性の土でできていて、山のてっぺんにもかかわらず山の中に長い時間をかけて水が溜まり、少しずつ湧き出してくるのだとか。冷蔵庫に入れておけば一年は腐らない、という方もいるそうで、体調管理に一滴ずつ使われる方も多いとのことでした。
龍水寺に伝わる「龍の伝説」
小豆島町(旧池田町)の西の滝に大麻山龍水寺(だいまざん りゅうすいじ)という寺があります。
その寺には龍の口から出る清水があって、どんな干ばつにも枯れることはありません。むかしむかし、弘法大師がこの島にこられた時に、この地は一面の荒れ地でありました。お大師様が、そのわけを聞くと「ここはいくら作物をつくっても、大麻山にいる龍が来て荒らしてしまうのです。その上、子どもはさらわれる、家畜は殺される。」と村人達は訴えました。
お大師様はさっそく大麻山に登り、龍が出てくるのを待ちました。しばらくすると、すごい形相の龍が現れましたが、お大師様は驚くこともなく、静かにお経を唱えはじめました。するとふしぎやふしぎ、たちまち龍はへなへなとなり、お大師様の手でかめの中に封じ込められてしまいました。かめの中の龍は、今までの悪事を悔いて、その償いとして、これからはどんな干ばつがおこっても絶対に水は絶やさないと誓い、そのかめの下からは澄んだ水がこんこんと湧き出して、荒れ野はよみがえり作物に恵まれるようになったということです。
龍水寺の清水は、龍の誓いのとおり今なお枯れることなく湧き出し続けています。—香川の水サイトから引用
「おんまか きゃろにきゃ そわか」と唱えます。
行者さんが日々お勤めをされているのでしょう。生活感のある仏壇に、場所の“現在進行形”がありました。
仏壇から90度曲がると真っ暗な通路。外は暑いのに、ここだけひんやりして、ちょいと怖い。
ここを抜けると、最初に見た岸壁にそびえたつお堂に到着です。
うわ~。高い!
絶景かな絶景かな。小豆島の有名ロケーション、土庄のエンジェルロードも見えます。
天空霊場にふさわしいお不動さんもいらっしゃいました。身代不動明王と書いてあります。
境内の意匠も、いちいち面白い。瓦のモチーフや像たちが、ちゃんと“ここ”の空気を持っています。
先日ご紹介した弁天さんと同じ弁天族の方かもしれません。琵琶にしては小さいですが、たぶん琵琶でしょうね。
灯篭かと思いましたら……
石造りの祠の中に尼さんが入ってらっしゃいました。
こちらは打ち出の小槌。
バラと猫。
沖縄っぽい獅子。
龍水寺に相応しい龍。
上の画像とはまたデザインの違う龍。
帰り道は楽かと思ったら、怖い~。でも見晴らしは最高です。
小豆島、とても面白くて素敵な島でした。
地図(西の滝龍水寺)
西陣の織屋として:金襴を「身近に」
西陣の織屋として金襴を日々織りながら、「身近に金襴製品を」という思いでオンラインストアも運営しています。よろしければ覗いてみてください。

今日の織屋の賄い
今日の織屋の賄いは、京都のおばんざい。ナスにしん。小ナスはちょっとしょっぱく漬かってしまいました。































