西陣織金襴とは
金襴はどんな織物?
金襴の歴史は大陸から織物の技術が入ってきた頃と時を同じくして、特権階級のための贅沢な織物として珍重されたことにはじまります。以降も神社仏閣の装飾や僧侶の袈裟、能装束、掛軸の表装など多くの用途に使用され、日本の伝統において重要な役割を果たしてきました。
特に西陣で製造される金襴は、正倉院文様や代々伝承されてきた紋様など、格調高い意匠を巧みな製織技術によって織り出されることで知られます。
ちなみに金襴は同じ西陣織でも他の織物と計測の方法が異なり、尺貫法でいえば呉服は鯨尺を用いるのに対して金襴は「曲尺(かねじゃく)」を用いて製造されます。
金襴の美しさを決定づけるのは、独自の製法で作られる金箔※や金糸。その素材となるのは、専用に漉かれた和紙に漆を引いた上から本金箔(金属箔)を貼り付け、細かくスリットして糸状にした「本金引箔」です。これをそのまま、あるいは絹糸を芯に引箔を巻き付けた金糸に加工して使用します。
金糸や引箔は緯(よこ)糸として織り込まれることで、立体感と黄金色の輝きを放ち紋様の豪華さを際立てます。
いずれの工程においても、熟練した技術と細心の注意が求められます。
※柄箔・銀箔・プラチナ箔も使用します。(オンラインストアなどの通常製品は銀ベースの金属糸を使用しています。)
輝きを生み出す
引箔素材
西陣岡本では、和紙・漆・金箔を使用した「本金引箔」または「本金柄箔」をふんだんに使用した特別注文織物である全正絹西陣織金襴本金引箔を得意とし、多く製織しています。
今では各工程、昔ながらの技術を持つ職人も稀少となり、伝統の製法を守り継ぐことが困難になってきましたが、私たちはこの貴重な文化を可能な限り守っていきます。
西陣における本金引箔の製造は、
1和紙に漆を塗る
2金箔を張る
3裁断する
の3工程があり、それぞれに異なる職人が担当します。
新発表
西陣織 真珠粉本銀箔模様引箔
特注製作した「真珠粉本銀箔模様引箔」を使用し、絹織物「全正絹西陣織金襴真珠粉本銀箔模様引箔」を発表。
「西陣織工業組合設立50周年記念2023西陣織大会」に出品し文部科学大臣賞を受賞しました。
その製造工程を公開いたします。
西陣織絹織物のできるまで
- 養蚕
蚕が吐いた糸を製糸します。 - 紋図(図案〜紋意匠図)
織物にする図案(デザイン)を描きます。
その図案をもとに、西陣織にするための設計図となる紋意匠図をつくります。 - 染め
絹糸を染める工程です。紋意匠図にしたがい思い通りの紋様が織り出せるよう、慎重に色を合わせて染めてもらいます。 - 整経(せいけい)
経(たて)糸を揃えて生地の状態にして、ビーム(ちきり)に巻きます。織物のもとになる工程です。弊社の織物は70cm幅に約6,000〜15,000本の経糸があります。 - 経糸継(たていとつぎ・経継とも)
経糸の色を替えるために新しい経糸をつなぎ足す作業です。1本1本、つなぎ合わせていきます。 - ぜんまい
絹糸を木製の糸状巻取機(かせ機)に巻き取ります。 - ぬき巻き(管に巻く)
緯(よこ)糸を「管」という細い竹に巻きます。この管を「杼(ひ)」に入れ、機械にセットします。 - 製織
機械製織します。こちらは本金箔糸を織り込んだ布を織っているところです。
1枚を織り上げるまでにとても時間がかかります。 - 検反
織り上がった絹織物に不具合がないか検査します。これは最低2度行われます、布の端をきれいに切って処理します。すべて拡大鏡で見ながら、糸くずやほこりなどをすべて取り除きます。 - 張り加工
検反を終えた絹織物1枚1枚を「ふのり」と「でんぷん」を合わせた糊で裏張りし、矯正する加工です。
西陣織絹織物のできるまで
映像でご紹介
西陣織は、完成に至るまでに、実に多くの職人の手をかけています。その様子をぜひ動画でご覧ください。
この動画に登場する職人は11人ですが、実際はもっとたくさんの人が関わっています。
すべての職人が、お客さまに素晴らしい製品をお届けするために日々、奮闘しています。