弊社の最低ロットと価格についてのお話
弊社の西陣織、絹織物のオリジナルデザイン発注の際、最低ロット5mについて「その価格を明記して欲しい」とのご要望をtwitterで頂きました。
ご興味を持っていただいて非常に嬉しい事です。ありがとうございます。
弊社は西陣織の敷居を低くしたいとの思いでSNSに投稿させていただいておりますので、可能な限りお客様のご要望に沿いたいと思っております。
実際、他社で断られたという方が弊社にご相談にいらっしゃいます。
最低ロットと言われた100mを染めたり織ったりしても、製品を大量生産していない限り、織った布地を消費する事は非常に大変です。
布を作りたいと思っている方の多くがそこで頓挫している事を、私も布好きの端くれとして理解しております。
西陣でオリジナルの織物を織るとうのは、トップメゾンでのオートクチュールのようなものだとお考え頂けたら幸いです。
オートクチュールはもちろん1着からオーダー可能です。
シャネルのオートクチュールにメール一本で「買うかどうかわからないし、どのようなものを作るか決まってないけれどフルオーダードレスの価格を明記して欲しい」と聞く方は少ないと思います。店側といたしましても何をどのように見積もっていいのか解りません。
「このようなものを作りたい」もしくは「欲しいものを漠然と思ってはいるけれど何が良いのかわらかないから自分に似合うものを一緒に探してくれないだろうか?」という思いが必要だと思うのです。その時には全経験を総動員してお客様の求めているものを探します。それがプロです。
弊社の仕事は従来、お客様のご要望に沿って糸を染めて、オリジナルの紋意匠を作り、その都度その都度違うものを織っていくという仕事です。弊社でも色々な織機がありますので、お客様のご要望に合わせられるような織機を手配し、経糸も考え、職人たちの経験を総動員してあらゆる準備をしなければなりません。
そのような準備が織るものによって違いますため、お客様のご要望、色々な制約等により価格は2mだったら○円、等と明記出来ない事をご理解下さい。
オートクチュールでも、レースまで手編みで絹なのか、人絹の機械編みなのか、ミシンを使うのかすべて手縫いか等でも価格は変わってまいります。安いビーズをつけるかスワロフスキーか、宝石を付けるのか。
それをお客様がお好みに合わせて想像しながら注文するのがフルオーダーです。その醍醐味は素晴らしい事でしょう。
弊社も長い事西陣で製織に携わってまいりました。少しでも良いものをお手元に届けたく思っております。
その反面、価格面での不安もよう解ります。予算をお聞かせいただければそれに合わせたものを提案する事も可能です。
まずはお互い、交流をしてからのお話になると思います。
ボタンをぽちっと押せばネットでは色々なお買い物が出来ます。
しかし、物を作ると言う事はポチッと押して作れるものではございません。
話し合いが必要になってまいります。もちろんメールでのやりとりでも大丈夫です。
でも可能ならばお会いできるのならお会いできた方がより相互理解も深まりますし、お客様がどのような物を求めていらっしゃるのかも解ります。
と、書きましたが、だいたいはメールでの画像添付などのやりとりで織る事は可能なのですが・・・。
生地の価格+紋紙代、既存に無い色でしたら染め代、等が必要です。
尚、5m織るのも100m織るのも準備に必要な要素はほとんど同じな為、長く織る事が出来れば手間代なども下ってまいります。
ご興味がおありの方、デザインなどのご希望を是非お聞かせください。
どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
追記:
あるお客様とのオリジナル紋様を織り上げるまでの工程を書かせて頂きます。京都市内のお客様ですと実際にしょっちゅうお顔を合わせて打ち合わせが可能ですが、遠方のお客様だと中々お会いできないため、メールや電話でのやり取りが主流となります。
1:お客様が弊社の絹織物に興味を持ってくださりご連絡を下さいました。
2:一度顔合わせをさせていただきました。この時に、どのような物を織りたいのか詰めていきます。
3:第一デザインが決まるまでにやり取りしたメール、お電話は約30回以上です。
4:デザイン決定後、紋紙等を作らせていただきます。
5:試し織りを織り、お客様にご覧いただきます。まずはデザイン面からの試し織り。その後配色についての試し織り。この作業を6回繰り返しました。
6:最終決定。
7:製織。
8:検反、反物の整理加工。
9:お客様に納品。
簡単に書かせていただくとこのような工程を踏んでオリジナル紋様が出来上がります。
とても楽しい楽しい作業です。