こんにちは。西陣織屋の岡本織物です。
金襴を織り続けて100年以上。
だけれど紺屋の白袴で製品になったものをあまり見たことがありません。何せうちとこは織屋で、織られた物は仕立てられてそのまま神社仏閣に納められます。
ええもん織ってるんですが、うちの布ってどんな所で使われているんやろ?そんな疑問から金襴を探す旅に・・・というのは極端ですが、金襴を探しています。
我が社の金襴は神社仏閣の荘厳に使われたり、お袈裟になったりします。という事で見にいくべき場所はお寺。しかし、金襴の荘厳はそのお寺の「宝物」ですので滅多に掛かっていません。特にうちとこの金襴は桐箱に納められてしまっている率が高いのでよほどの仏事でないと見られない。ということは仏事には一般人が堂々と入っていける機会も少なく、中々我が社の金襴を見ることは叶わないわけです。OMG!
毎日毎日織りまくっているのにうちとこの金襴は見かけませんなあ。他所様の金襴でええし、色々見てみましょ。お寺にも中々金襴がないので・・・そうだ!京都に沢山いはるお地蔵様に金襴のおべべがかかってる!
ということでお地蔵さんウォッチも始めました。
するとお地蔵さんの個性豊かっぷりに、私、射抜かれました。
私のブログを読んでいただいたのか知り合いから「うちの妻がお地蔵さんのお顔を描かせて頂いたんです。良かったら観に来てください」と教えていただきました。
ついに!きました!知り合いの描かはったお顔のお地蔵さん。
なんだか変ったパイプが気になります。これはなんでしょうか。とにかくお地蔵さんの祠というのは色んな工夫がされていまして、その町内の創意工夫が見られます。
もう、むちゃくちゃ可愛いし!
そこでついに私のしてみたかった「お地蔵さんのお顔を描いたお人にインタビュー」が叶いました。
1:どういった経緯で「お地蔵さんの御化粧の話」が来たの?
3年前に町内の地蔵会の役員になった事をきっかけに、お化粧直しをさせていただきました。毎年、地蔵盆の折にはお化粧が剥げている部分などを修復されていましたが、その年は、多少なりにではあるものの、絵心を持ち合わせていた私に、この際自由に生まれ変わらせてあげてくでさいというご依頼をいただいたのがきっかけとなりました。
2:以前のお地蔵さんはすっぴんさんだったの?化粧してはったの?
それ以前のお地蔵さんは、白塗りのお顔に、お顔が墨でシンプルに描かれたお顔をされていました。
3:画材は何を使わはりましたか?
アクリル絵の具と、同種の盛り上げ材(風化によってと思われる、お鼻の筋と頬を修復するためです)を使用しました。
5:御化粧を施す時には仏事と言うか(御坊さんが来て読経するとか、精進するとか)そのようなことはありましたか?
特別に読経や祭事はされませんでした。 私も、自宅を出た正面にいつも鎮座されてとても親しみを感じていたお地蔵さんでしたので、書き始める前には、かしこまった事もせず、ただ、いつも見守っていただいている事に対しての感謝の気持ちと、少しお顔を触らせていただきますというお断りだけお話させていただきました。
6:描く時にイメージしたものは?
イメージを先に立てることはせず、ぼんやりと眺めて浮かんできた点に、目とお口の印を付けてからは、一気に仕上げました。ただ、あまり高尚過ぎず、かといって漫画のようにもならぬよう留意しました。町内の(特に昔からお住まいの)方々のとても大切にされておられるお姿を拝見しておりましたので、毎朝手を合わされるさいに、話しかけたくなるような愛らしさとかつ、包容的な表情が表現できればと思いました。結果、仕上がってみると、傍らで興味津々に見守っていた子供そのままのようなお顔になっていました。
静かに興奮しました。素敵な経験ですね。しかも自分の愛する子供の顔に似てくるというのがいいなあ。パテを使って補修するというのも中々魅力を感じました。(パテ埋めとか好きだけど下手)
京都にいらした時は是非、道々のお地蔵さんにお気を留めてください。
愛が詰まっています。
金襴は掛かってなかったけれど、満足!
可愛い可愛いお地蔵さんでした。