織物・染物・編み物の違い

展示会などで、私たちの西陣織の布地をご覧になったアパレル関係者の方から「すごく立体的なプリントですね」と言われることがあります。

その言葉に、私たちは毎回少しだけ立ち止まります。西陣織は“プリント”ではなく、糸の交差によって紋様をつくる「織物」だからです。

布の世界では、織物・染物・編み物という異なる技法が存在します。見た目が似ていても、成立の原理はまったく異なります。実際の会話の中ではこれらが混同されることも少なくありません。

織物・染物・編み物の違いは、布(繊維を用いた平面)をどのような構造で成立させるかという点にあります。この記事では、その違いを構造から整理します。

織物とは

織物とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を直角に交差させ、一枚の平面の布地をつくる技法です。

糸の交差のさせ方(組織)を設計することで、紋様や布地の構造をつくることができます。西陣織は、この「織り」の技術によって紋様を表現する紋織物にあたります。

西陣織の紋様は、後から染めるのではなく、糸の設計段階で組み込まれ、織り上げられます。

染物とは

染物とは、糸や布地を、さまざまな技法によって染色し、色や表情をつくる技法です。

友禅染などに代表されるように、白生地に色や模様を染め上げることで紋様を表現します。

織り上がった生地を染めることもあれば、糸を染めてから用いることもあり、地域や用途に応じて多様な技法が発達してきました。

編み物とは

編み物とは、糸をループ状に絡ませながら構造をつくる技法です。

ニット製品が代表例で、伸縮性が生まれるのが特徴です。

大きな機械を必要とせず始められることもあり、世界中でさまざまな技法が発達してきました。

西陣織は「構造」で紋様をつくる織物

西陣織は、先染めの糸を用い、組織設計によって紋様を表現する紋織物です。

当社の場合、絹糸を基本として、そこに金糸や箔糸を織り込み、立体的な組織によって光による表情の変化を生み出します。

それは表面を飾る技法ではなく、布地そのものの構造に組み込まれた紋様です。

この「構造で表現する」という点が、西陣織を理解する上での重要な特徴です。

西陣織との関係

西陣織は、構造によって紋様を表現する「織物」に分類されます。
より詳しい基礎知識は以下のページで解説しています。


布を正しく理解することは、西陣織を正しく理解することにもつながります。


以下のページからさらに詳しく織物とは、染物とは、編み物とはについてご覧いただけます。

織物とは|構造・三原組織・編み物との違いを解説

織物とは何かを、経糸と緯糸の構造、三原組織、編み物や染物との違いから解説します。布の基礎知識を整理します。

染物とは|色彩によって布を表現する技法

染物とは何かを、織物との違いや歴史、技法の観点から解説します。色彩で布を表現する日本の染色文化を整理します。

編み物とは|ループ構造で布をつくる技法

編み物とは何かを構造から解説。三原組織、織物との構造的差異まで専門的に整理します。