KBS京都ラジオ「録音風物詩」で西陣岡本の金襴織物と職人の声が紹介されました。機音とともに紡ぐ伝統と未来。

録音風物詩|人と糸が紡ぎ織りなす伝統と未来

2025年7月、KBS京都ラジオの長寿番組「録音風物詩」にて、京都・西陣で西陣織 金襴を織る私たち「西陣岡本(岡本織物)」の現場が紹介されました。

番組の中で印象的だったのは、完成した布地だけでなく、織機の音、職人の手の動き、工房の空気まで、音で伝えようとしてくださったことです。ラジオだからこそ、織る仕事の「呼吸」がそのまま届く回になりました。

放送・視聴情報

  • 番組名:録音風物詩「人と糸が紡ぎ織りなす伝統と未来」
  • 制作:KBS京都 ラジオ局編成制作部 森俊輔さん
  • 放送期間:2025年7月21日〜2025年7月27日

番組はYouTubeでもご視聴いただけます(音が主役の回なので、できればイヤホン推奨です)。

この回で扱われた「西陣織 金襴」とは

番組では、「西陣織」の中でも、神社仏閣の装飾裂や法衣などに用いられてきた「金襴」に焦点が当てられました。金糸や引箔など、光を扱う素材を使い、紋様を立体的に織り出す織物です。

「西陣織 金襴」について、素材や工程をもう少し詳しく知りたい方は、こちらに整理しています。

西陣織 金襴とは|用途・素材(引箔/金糸)と分業制を織元が解説

番組に登場した「職人の声」文字起こし

ここからは、番組内の言葉を、読みやすさのため一部標準語に整えて掲載します。実際の放送では京都の言葉のまま語られていますので、ぜひ音声でもお聴きください。

金襴とは何か

主にお寺や神社仏閣向けに使われる織物が「金襴」という部類になります。特別な和紙に漆で金箔を貼った「本金引箔」や「本金糸」などを使い、布地をより金に見せることに力を注いだ織物です。

関連:西陣織 金襴とは

機音とともに育った記憶

うちは何代も織屋をやってきました。子どもの頃は、父が僕らが寝るまでずっと機を織っていて、毎晩、機音が子守歌みたいに聞こえていました。夜中に目が覚めても「まだ仕事してるんやな」と思って。懐かしい音です。

岡本忠雄

インタビュー:西陣織一筋60年|手織り職人・岡本忠雄

一枚に込める想い

うちの品物は、お寺に飾る「打敷」になることが多いです。僕らは毎日金襴を織っていますが、買われる方にとっては一生に一度の買い物かもしれない。だからこそ、傷があれば戻して、その人の気持ちになって織りたいと思っています。

岡本光雄

インタビュー:西陣織 金襴の手織り職人・岡本光雄

変わりゆく日常

昔は一般家庭向けの仏具用品も多くて、私が入社した頃は毎日、検反作業に追われていました。でも今は、そうした一般向けの需要が減ってしまいました。

岡本絵麻

インタビュー:西陣織金襴は人生のエンターテイメント|岡本絵麻

「織る前」の工程が先に細くなる

「西陣織の職人不足」と聞くと、若い織り手がいないと思われがちですが、実は「織る前」の工程に関わる職人が減っています。ジャカードを作る人、部品を専門で作る人。そういう細やかな職人仕事が積み重なって、やっと一枚が織れます。そこが欠けると、同じ質の織物は作れません。

岡本圭司

インタビュー:西陣織 金襴を守る職人の仕事|岡本圭司

番組制作者・森俊輔さんの言葉

以前は、町を歩けばどこからか機織りの音が聞こえてきたものですが、近年はその光景も少なくなってきたと感じます。取材を進める中で、織りの現場だけでなく、機械の整備や素材の調達といった「織る前」の工程に関わる職人たちの状況にも目が向きました。

KBS京都 森俊輔さん(制作後記より)

取材当日、森さんが織機の構造や、整備・調整に関わる職人の存在に驚かれていたことを覚えています。工房の内側にいると当たり前になっていることが、外から見ると「そこまで人の手が入っているのか」と見える。その驚きが、番組の丁寧さにつながったのだと思います。

西陣の「現場」をもっと知りたい方へ

西陣織は、織り手だけで完結しません。図案、糸、染、整経、箔、紋紙、機の整備。たくさんの専門職が噛み合って、ようやく一枚になります。

私たちは、そうした現場の輪郭を残すために、職人インタビューを継続して掲載しています。

職人たちへのインタビュー一覧

森さん、そしてKBS京都の皆さま。このたびは貴重な機会をありがとうございました。西陣織の機音が、次の誰かの記憶にも残ることを願っています。


  この記事を書いた人

西陣岡本の専務取締役でありテキスタイルデザイナーの岡本絵麻の写真

岡本 絵麻

京都・西陣の織元 岡本織物で西陣織金襴のテキスタイルデザインと発信を担当。
工程・素材・ことばの往復から、現場の輪郭を書き残しています。


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