「西陣の中にいる分業先の職人たち」への思い
西陣には、私たちにとって大事な人たちがいます。
世界がハイテク機械化される中でも、私たちの背景には熟練した職人たちがいます。
染屋 photo @studio_fit_kyoto |
染屋 photo @studio_fit_kyoto |
染料を計量することなく絹糸を染め上げる、経験が必要な「勘染」の職人の仕事風景
西陣は一つの会社?
西陣織を織るのは一つの大きな会社組織だと思われがちですが、実際には「西陣」と呼ばれる地域には数多くの小さな織工場があり、それぞれが独自の特色を持った織物を生み出しています。
これらの工場を支えるのは、西陣地域に住む多くの職人たちの存在です。
私たちは得意先に歩いて行ける距離に仕事場を持ち、互いの仕事を助け合いながら、西陣織の一枚を生み出しています。
西陣織工業組合によると西陣織の定義として12種類の技法が認められ、様々な織物が西陣で製織可能なことがわかります。
西陣には沢山の織屋があります。
こちらの画像をクリックしていただけましたら、西陣織工業組合のHPに飛んで、西陣織工業組合に所属する織屋さんたち一覧をご覧いただけます。
西陣岡本の金襴
私たち西陣岡本は西陣織の源流であるといわれる「西陣織金襴」を織っています。
古い歴史を持つ私たちの織物は緯錦(ぬきにしき 上記写真の3番)と呼ばれ、多彩な緯糸を用いて絹織物を生み出す技術です。
これにも多くの分業先の職人の手が必要です。
整経 photo @studio_fit_kyoto |
整経 photo @studio_fit_kyoto |
彼らの力を結集し、最終工程の製織を行うのが私たち織元の役割です。
織元での仕事
織元の仕事を大きく分けると以下のようなことをしています。
- 仕事を受注する
- 受注先とどのような織物を織るか決める
- デザイン発注、紋図・紋紙データの用意
- 絹糸の用意(綛からコーン巻き、木枠巻き等必要に応じて仕分ける)
- 糸染め発注
- 整経発注
- 織機の準備・整備
- 製織
- 検反
- 後加工発注
- 発送
力織機での製織風景 photo @studio_fit_kyoto |
手機での製織風景 photo @hidehiro2362 |
西陣織に関わる職人たち
ざっとではありますが、西陣織に関わる職人たちを羅列します。
- 養蚕
- 製糸
- 紋図
- 紋意匠図
- 織物の道具
- 織機の整備・修理
- 綜絖
- 金箔の糸を作る
- 染色
- 整経
- 経継
- ぜんまい
- 管に緯糸を巻く
- 製織
- 検反
- 張り等の後加工
お客様がいてこその仕事
私たちの仕事が成り立つのは、お客様がいるからこそです。
職人たちが力を合わせて一枚の布を作り、運送業者が商品をお客様の元に届ける。
人の手によって成り立っています。
AIの時代が到来する中で、私たちは人々の心を豊かにするために、人の力が不可欠だと私たちは信じています。
ハイテクによる均一な製品ではなく、人が関わるこそ生じるゆらぎの美。
西陣織の魅力は、その裏にある職人たちの情熱と技術によって生み出されています。
私たちは彼ら縁の下の力持ちの存在を忘れず、これからも彼らと協業して美しい物語を継承していきます。
少しでも多くの方々に西陣の事を知って頂きたい。
知ってご購入いただくことで西陣産地はこれからも存続していけます。
少しでも多くの方々に西陣の織物を知って頂きたい。
世界でも珍しい様々な技法を使った織物を織る産地、それが西陣です。