京都・西陣で開催された西陣織博2025にて、岡本織物株式会社(西陣岡本)の西陣織金襴「モンステラと鳥紋様」が、京都金銀糸工業協同組合理事長賞を頂きました。
後日、西陣織工業組合より「受賞作品を匠エキスポにて展示します」とのご連絡をいただきました。
そのお知らせをきっかけに、あらためて考えました。
私たちはなぜ、この意匠を西陣織で織ろうとしたのか。
本記事では、受賞のご報告とともに、モンステラに羽ばたく鳥たちを金襴で表現した背景を書き記します。
なぜモンステラに羽ばたく鳥たちを、西陣織で織るのか
西陣織の金襴には、長く受け継がれてきた紋様があります。それは西陣の財産です。
当社はこれまで、神社仏閣に納める金襴を織ってきました。
ご神前や御堂を荘厳する布地として、密度と輝きを極める意匠を織り続けてきました。
けれど私たちは、現代空間の中で、違和感なく存在できる金襴であることも重視しています。
寺社仏閣で培った技術を、別の場所へも連れていく。
その挑戦の一つが、この布地でした。
この意匠を担当した当社のテキスタイルデザイナーは、アマゾン流域の植物・鳥類の造形に着目していました。
モンステラは葉の切れ込みが鋭く、光を受けると陰影が大きく変化する植物です。
その構造は、金銀糸の反射と相性が良いと考えました。
そこにアマゾン流域の鳥たちを配置することで、面と線、静と動を同じ一枚の布の中に共存させたいと考えました。

鳥を入れたのは装飾だけのためではありません。
視線を動かし、光の変化を布の中で感じてもらうためです。
絹の艶と金銀糸の輝きが角度によって変わるとき、鳥の向きや羽の流れが、布地に微かな動きを生みます。
置かれる空間の明るさが変わっても、飽きずに見続けられる織物にしたかったのです。
モンステラと鳥紋様の布地の仕様や用途イメージは、作品ページに掲載しています。
金銀糸は、派手さのためではない
金銀糸は豪華さの象徴として語られがちですが、私たち織りの現場ではもっと具体的な役割があります。
- 光の量を制御する
- 輪郭を明確にする
- 離れた距離での見やすさを作る
今回の布地では、モンステラの葉脈や切れ込み、鳥の羽の流れが読み取れるように金銀糸の出方を設計しました。
目指したのは、強い光ではなく、形が伝わる光です。
その扱いを評価していただき、理事長賞を頂けたことは、金襴の織元として大きな励みになりました。
西陣織金襴の役割や歴史については、こちらに整理しています。
匠エキスポ(みやこめっせ)にて展示
京都の伝統産業が一堂に会する匠エキスポにて、本作も展示されます。
春の一日、ぜひ、お立ち寄りください。
概要
- 開催日時:3月14日(土)~15日(日) 10:00~17:00(最終日は16:00まで)
- 料金:無料
- 開催場所:京都市勧業館みやこめっせ 1階 第2展示場及びホワイエ
- ウェブサイト:公式サイト:匠エキスポ公式ページ
