東山三条 金剛寺~西陣金襴織屋の金襴探し

こんにちは。
京都西陣にある金襴織屋の岡本織物です。

今日は花祭りですね。洛中でも色々な催しがあると思います。花祭りだったら色々なところでうちの金襴も桐箱から出されているかもしれません。

一昨日、花祭り前日祭?に呼ばれて行ってまいりました。今日はそのお話。

我が社は金襴と言う「金糸・金箔糸」を多用した豪華絢爛な織物を日々織っています。

ところが普段は使用されている金襴を見る機会が無いので、いったい金襴はどのようなところで使われているのか?という疑問を抱いて、金襴を探してさまよっています。
そしてもちろんお寺には沢山あるはず(しかし金襴はお寺の宝物の為、法要など重要な時にしか使われてない事が多い・・・)
普段着の金襴で結構。色々と探しています。

というテーマでブログを書いています。
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今日はお寺。東山三条の金剛寺を見学してきました。FBのファンページhttps://www.facebook.com/higashiyamakongouji
このお寺のミッションは「あなたの「こころのよりどころ」になります」

面白いんです。こんなコピーのプリントを頂きました。

4月8日はお釈迦さまの誕生日!イエスさまがメリクリならお釈迦さまはメリシャカ!!

というプリントを頂いて私の心が、がしっとつかまれました。メリシャカ!!!!!花祭りってメリシャカなのね。

ちょうど「二胡の調と共に」というイベントが開催されていまして、二胡を聴く機会という珍しい経験が出来ました。

二胡演奏者 尾辻優衣子さん
二胡演奏者 尾辻優衣子さん

二胡演奏者の尾辻優衣子さんはとても素敵な女性で、二胡の優しい調べとアルカイックスマイルが桜の散り始めた京都の春となんともいえない良い感じ。

金剛寺 花まつり
金剛寺 花まつり

甘茶の御接待を頂いて心和むひと時を味わいました。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

笹竹模様の障子が素敵。障子を通した光って心落ち着きます。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

丸窓からお庭が見えるのもいいですね。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

こちらは金剛寺のご本尊、阿弥陀如来。金剛寺は浄土宗のお寺です。浄土宗といえば、南無阿弥陀仏を唱えて極楽浄土へ往生しようという宗派です。南無阿弥陀仏という言葉にはサンスクリット語など私には理解の出来ない言葉が入っているのですが、私が要約した所、「私は阿弥陀仏様にすべてをすがって心の拠り所にさせてもらいますのでよろしゅうおねがいします」という意味なのではないかと思っています。

以前より何度か書いてあるように如来は悟っていはるのでどーんと構えて動いてはくれません。菩薩だった時には装飾品などにもちょいと興味があったので、耳飾などもしてきらびやかな衣装をまとってはりましたが、如来になった今、耳飾にも興味がなく以前の名残の耳の穴だけ、衣も布を一枚巻いただけというお姿になってはります。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

阿弥陀如来の周りは極楽をあらわす装飾品でキラキラです。もちろん↓金襴も懸想に一役買っています。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

今回の見学ではかなり近寄って拝見する事が出来ました。お坊様おおきに、ありがとうございます。こちらの阿弥陀様は木彫に箔を貼っています。言い伝えではこちらの阿弥陀如来像は行基上人が彫ったとされる身の丈一丈六尺(約4.8m)の木像。応仁の乱で当時のお寺が焼けてしまいなんとか木像の首だけを持ち出し、東山の粟田口に菰を敷いて祀っていたそうです。それで今でも蹴上には「小物座(こものざ)(蔣座)町」という地名があるそうな。慶長七年(1602)にこの地に移動。1713年に本尊修復が叶ったそうです。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

戸帳の金襴は「菊桐唐草紋様」

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

がっしり降魔坐(ごうまざ)という座り方で座ってあらはります。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

阿弥陀様の頭上の光輪についている小さな仏様たちが可愛すぎます。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

この天蓋は一種の過去帳なのかしら。戒名が書いてありました。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

とても素敵に可愛い蓮の花びらを象った模様紙。何箇所も置いてあります。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

↑↓お寺とは密接な関係、竜虎屏風。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

この屏風を背に二胡演奏者の尾辻優衣子さんの演奏がありました。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

こちらのお坊さんがものすごく良いお坊さんで、阿弥陀如来様について軽く教えてくれてはったのですが、同行の若者が「極楽往生と輪廻転生は何が違うんですか?」という質問をした時に、↓のプリントをくれはりました。輪廻転生とは六道(天道(てんどう)、人間道(にんげんどう)、修羅道(しゅらどう)、畜生道(ちくしょうどう)、餓鬼道(がきどう)、地獄道(じごくどう))の中を迷いのある者が輪のように廻るという、6種類の迷いある世界のこと。

ここで六道の説明をさせていただきます。

  • 天道 天道は天人の住む世界。天人は人間よりも優れて、寿命も長く、苦しみも人間道に比べてほとんどないとされています。空を飛ぶこともでき享楽の生涯を過ごすそうです。しかし煩悩にまみれ解脱も出来ません。天人が死ぬ時には五衰(天人五衰)と呼ばれる症状が出て、体が垢だらけで臭くなり脇からの汗がひどく、頭上の花が萎んでしまいます。
  • 人道 人道は人間の世界。苦しみの大きい世界だが楽しみもある。六道の中で唯一自力で仏教の教えに出会える世界で、解脱し仏になりうるという救いもある。
  • 修羅道 修羅道は阿修羅の住む世界。修羅は終始戦うとされる。苦しみや怒りが絶えないが地獄のようではなく、苦しみは自らが生み出す世界。
  • 畜生道 畜生道は牛馬など畜生の世界。本能ばかりで生きて、使役されるがままという自力で仏の教えを得ることの出来ない、救いの少ない世界とされる。
  • 餓鬼道 餓鬼道は餓鬼の世界。餓鬼は腹が膨れた鬼で、食べようとするとその物は火となってしまい食べる事かなわず餓えと渇きに悩まされる。他人を慮らなかったために餓鬼になるとされる。旧暦7月15日の施餓鬼はこの餓鬼を救うために行われる。
  • 地獄道 地獄道は生前の罪を償わせるための世界。

この6つの六道間を永遠に回り続けるのが輪廻転生。極楽浄土への往生とは一体なんでしょう。とてもこのブログで書ききれるものではありませんが軽くまとめさせてもらいます。極楽とは「幸福にみちみちている世界」。往生とは「成仏」すなわち、仏になる。「仏になって幸福に満ち溢れた幸せの国に行くぞ!」というのが極楽浄土への往生。軽く言いましたが、私から見たら六道の天道でさえ極楽に見えるのに、幸せが満ち溢れた世界など想像もつきません。私など俗人は「不幸無しに幸せなど推し量る事が出来ない」と思ってしまうのですが、そういう邪推や疑念や余計な考えが一切ない世界が極楽なのでしょう。

等と頂いたプリントを拝見しながら徒然と考えておりました。

東山三条 金剛寺
東山三条 金剛寺

私は、修羅道、人道と、あわよくば天道にたまにいければいいな、と思います。一番悲しげな餓鬼道はいややな・・・。そうか、六道輪廻は選ぶ事が出来ないんですよね。だからみな極楽往生の為に「南無阿弥陀仏」が必要なのかもしれません。

金剛寺のお坊様、ご親切に案内くださりおおきにありがとうございました。修羅道、人道と、あわよくば天道などと不埒な事を考えてしまいましたが、少しは精進していきたいと思っています。あ、浄土宗は精進関係ないんだ・・・。

お話が変わって、二胡演奏者の尾辻優衣子さんは4月5日土曜日に「春!kokokaおもてなし広場」に出はります。素敵な演奏をぜひ聴きに行ってくださいませ。

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