先日、経営者向けメディア「経道」にて、当社社長であり西陣織手機(ており)の伝統工芸士である岡本圭司のインタビュー記事が公開されました。
インタビューでは、経営やものづくり、伝統産業を取り巻く現実について、整理された言葉で語られています。
▶ まずはこちらをご覧ください:【経道インタビュー】「伝統を、ちゃんと利益が出る作り方に変える」
このインタビューでは、経営やものづくり、そして伝統産業が直面するシビアな現実が、整理された言葉で語られています。
しかし、それは同時に、私たちの日常のすべてを写し取っているわけではありません。
本記事では、インタビューの要約はいたしません。
あくまで、現場にいる私たちが、社長の語った「言葉」を日々の仕事の中でどう生かしているのか。
その現在進行形の記録を残しておきたいと思います。
だからこそ私は、値上げだけでなく、設計・工程・段取りを含めた「ちゃんと利益が出る作り方」に変えていく必要があると思っています。
「判断」は、現場では「続け方」になる
社長が下す「西陣織を織り続けていくための判断」は、現場に降りてきたとき、「今日もちゃんと織り、納品する」という具体的な規律へと姿を変えます。
西陣織を織り続けるために、何を変え、何を守るのか。
それは一度決めて完了することではなく、日々起こる小さなハプニングにより常に判断を変更していくものです。
絹糸の状態、引箔の質、分業先の職人さんたちの状況、織手たちの体調や生活、道具や機械の調子。
すべてが同じ条件で素晴らしく良く揃う日は、ほとんどありません。
現場では、そうした揺らぎを前提にしながら、「今日も良いもんを織る」という目標に向かって仕事をしています。
インタビューの「言葉」に収まりきらない現実
どんなインタビューでも、語ることができない部分があります。
それは意図的に隠すものもあるし、あまりに日常的で、言葉にしづらい現実だったりします。
原価の上昇、納期の調整、分業先の高齢化、後継者の問題。
それらは「課題」としてまとめることもできますが、現場では常に同時進行で存在しています。
オフィスで会議を重ねて解決することではありません。
常に現場に立って状況を把握し、解決していくことが必要です。
インタビューで語られた言葉は、こうした不安定な現実を消すものではありません。
むしろ私たちは、社長の判断を拠り所にしながら、どのようにしたらさらに良い納品が出来るのか、そして大勢の人に西陣織を知っていただけるのかを考え続けています。
言葉を「飾る」のではなく、仕事を続ける「道具」にする
私たちは、インタビューで語られた言葉を、スローガンとして掲げてはいません。
また、現場を美しく見せるための装飾として使っているわけでもありません。
西陣織の現場の現実と向き合ってきた社長の姿勢が、そのまま言葉になったインタビューです。
インタビューなどで語られる言葉は、私たちの経験の蓄積です。
これを必要な場面で、必要なだけ、仕事を続けるための道具として使っていく。
インタビューに向けた創作の言葉ではありません。
このように外部に向けて語られた言葉を発することで、内側で再確認することができるようになります。
外部に向けて語る言葉と西陣織の現場の往復の中で
インタビューのような外部に向けた言葉では、西陣織の現場をすべて説明することはできません。
しかし、西陣の現場だけに目を向けて閉じこもっていては、未来に向けた仕事を続けていくことは難しいと思います。
外部に向けて語った言葉と、製織の現場の内側の現実を往復しながら、私たちは今日も、西陣で布を織っています。
この文章は、インタビューへの補足でも、解説でもありません。
言葉を現場でどう生かしているのか、その途中経過の記録となりました。
私たちの前には大きな壁もありますが、それでもこれからも、西陣で西陣織を織り続けていくつもりです。
今後とも、岡本織物をよろしくお願い申し上げます。
▶経道インタビューへ→https://kei-do.com/interview2/01220/
