こんにちは。西陣に住んで金襴にたずさわって約100年の岡本織物のサイトにようこそ。
去年の暮れに、伝統工芸士が一人増えて3人になりました。これからもよろしくお願いいたします。
昨朝は朝一から朝刊一面の訃報に悲しんでおりました。宮尾登美子氏がご逝去なされたそうです。私は20台半ばで宮尾本に出会いましたが、中々骨太の読み応えのある小説を楽しませてくれはりました。古来女性は男性の付属品のような扱いが多かったと思うのですが、そうではなく、男性社会で翻弄されながらも力強く生きていく女達が私には頼もしく思えました。読んだら気分が暗くなるという評価も耳にした事がありますが私には「がんばろう!」と思わせてくれる作品達だったのです。残念です。しかも今現在でしたら88歳なんて若いと思ってしまうのに老衰だなんて・・・。つい先日も北海道の登別の近く伊達市の別荘で執筆しているという記事を読んだ気がするのに、あれはすでに何年も前の事だったのでしょう。ほんまに残念や・・・。近いうちに読み返したいと思います。宮尾さん、ありがとうございました。
さてさて、今日のブログはお地蔵さんについてです。
京都市上京区に住んで植物に興味があるなら一度は寄った事があるであろう、「タネゲン」という種苗屋さんの西側にありますお地蔵さん。タネゲンは鴨川に架かる出町橋の西詰にあります。ここは良い場所です。賀茂川と高野川が合体して鴨川に変るところ。とても良い感じの三角州があり、花のシーズンなど賑やかな学生さんの団体で埋まるという東山を一望できる風光明媚な良い場所です。森見登美彦さんの小説に鴨川の三角州はよく出てきます。うふふ。森見さんの小説の登場人物たちが一悶着している間もこちらのお地蔵さんがこっそりと見聞きしてはったかも。
といいつつ、写真をご覧になれば解りますように鴨川との間にはタネゲンの建物が間に入り、お地蔵さん自身は西を向いてはります。
周りにタネゲン所有の植木なのか緑の多いお地蔵さんです。素朴な石積みの台座がええ感じです。
祠の上には銅葺きの屋根に輪宝。
輪宝とは・・・
1:理想の王とされる転輪王の七宝の一。車輪の形をし,王の外出の際にはその前を進んで障害を打破する。仏の教説にたとえる。
2:1をかたどった密教の仏具。悪を打破するとされる。—コトバンクより
悪を打破する道具ですね。なんだか私もあらゆる小物に輪宝を付けたくなって来ました。
そして卍(まんじ)の文字には何かが住んでいる、いや、住んでいた?痕跡。綿を出してぬくぬく寝てはったんでしょうね。
そして主役のお地蔵さんは大きなお地蔵さんと小さなお地蔵さん。シンプルタイプで二体でおそろいのおべべを付けてはります。
東を見ればとうとうたる鴨川の流れは見えないにせよ、下鴨の森が垣間見れて良い場所でしょ?
岡本織物の仕事始めのブログでした。