こんにちは。京都の西陣織屋の〈西陣岡本〉です。
先日友人に梅を頂きました。実家の庭先になったそうです。素晴らしい。実のなる木のある庭って理想です。
夜なべ仕事の合間に梅仕事もしてたのですが、梅を水に漬けたときのこの美しさに癒されました。この瞬間は毎回息を呑みます。なんという儚い美しさでしょう。梅仕事の醍醐味です。
今日の西陣織屋のブログは箔を引く道具「へら」のお話。
西陣織、金襴では「金」とつくように金箔糸や銀箔糸 、たまにはプラチナ箔糸等が沢山使われます。箔糸(和紙に金箔を貼り、その金箔紙を細く切った「平箔糸」)が使われるのが西陣織の特徴でもあります。
この光り輝く感じが箔糸です。
この織物は力織機ですが、この「へら」という道具を使うのは手機です。
織前の左側に箔糸を綺麗に整えて引き抜きやすくセットしておきます。ぴんぴんと飛び出ているのが和紙に金を張ってそれを切った箔糸です。
へらを右手に持ち、しゅっと経糸に入れて左に用意してある箔に引っ掛けて一本一本引き入れていきます。織っている時は布の裏側を見て織っています。なので箔も裏の和紙部部なので白く見えています。これを織り前の裏(布の表)から見たらぴかぴかの箔なのです。
この道具をうちでは「へら」と呼んでいます。家々によって呼び方は違うようです。
この、竹が毎日毎日絹糸と擦れ合って滑らかになった質感・・・魅力です。