こんにちは。今日は「さし(ものさし)」についてお話します。
西陣の織屋【鯨尺、曲尺、メートル尺】三種類のものさしの比較
定規と物差し(ものさし)は混同されがちですが、両者はその機能によって異なります。 ・定規-直線や曲線・角を引く ・物差し-物の長さを測る (Wikipediaより引用)
ここに物差しがあります。
鯨尺、曲尺、メートル尺
弊社では、ものさし立てに物指が沢山立ててあります。
上から順に
- 曲尺
- 鯨尺とセンチ尺
- 鯨尺とセンチ尺
- センチ尺
弊社で使用している標準物差しは「曲尺(かねじゃく)」です。
曲尺は大工さんが使う単位で、弊社では正絹金襴を仏壇用に織るため、建物用の物差しを使います。
鯨尺と曲尺の違い
日本では、中国の唐で使用されていた唐制が導入され、大宝元年(701年)の大宝律令で大尺・小尺が制定されました。
明治時代に政府は折衷尺を公式の曲尺として採用しました。1958年制定の計量法では尺貫法が廃止され、1966年からは商取引での使用が禁止されました。
ただし、木造建築や和裁の分野では、「尺相当目盛り付き長さ計」(尺に当たる、メートル法による目盛りが付された物差し)が認められています。日本で販売される建築材などの規格は「定尺」と呼ばれ、かつての尺を基準とした寸法に由来しています。
今でも建築では曲尺、呉服では鯨尺、洋装ではインチなど業種によって違うのですが、西陣で主に使われている鯨尺と曲尺について
鯨尺(くじらじゃく)
「鯨尺」は1尺=37.88cm。鯨尺は主に呉服業界で使われ、着物など和装に用いる布類を測る際に用いられる単位です。もともと鯨のひげを元に物指を作ったと言われ「くじら」と呼ばれています。実際に鯨のひげで作られた物指は残っていないようです。
曲尺(かねじゃく)
「曲尺」は1尺=30.3cm。曲尺は主に建築業界で使われる単位です。
メートル尺
地球の赤道と北極点の間の海抜ゼロにおける子午線弧長を 1/10000000 倍した長さです。計量学の技術発展を反映して何度か更新されています。メートル尺とはメートル法で目盛りを施した物差しの事です。
現在の「メートル」は、1983年10月21日に以下のように定義されています。
メートル(記号は m)は長さの SI 単位であり、真空中の光の速さ c を単位 m s−1 で表したときに、その数値を 299792458 と定めることによって定義される。ここで、秒はセシウム周波数 ∆νCs によって定義される。
下記写真の左の長いものは、皆さん一番おなじみのメートル差しです。
学校でも使ってきたメートルがこんなセシウム周波数とかも関係しているなんて知りませんでした。
長く使い込まれた物差しって黒く光って美しい・・・。
身近な「モノの長さの単位」に思いをはせるのも心の体操に良いですね。