ha.ha.ha ~松風歯科クラブ様情報誌 Vol.95 秋号 掲載のお知らせ
歯科技術・歯科材料分野の大手メーカー、松風様より発行されている「松風歯科クラブ会員様向け情報誌」の2022年10月発行の95号に西陣岡本、取材・掲載をして頂きました。
ありがとうございます。会員誌という事で通常は手に入らないため、記事内容を掲載させていただきました。
古都爽風 67
高い発信力と軽やかな行動力で西陣織の新たなフィールドを目指す
西陣で新しい人生をスタート
日本を代表する高級織物として知られる西陣織。
その技術、製品は多岐にわたり、細かな分業性が敷かれている。
今回訪れた岡本織物は布を織るいわゆる織屋のなかでも、金糸や銀糸を巧みに織り込む「金襴」という技術を受け継ぐ。生み出される荘厳で建びやかな絹織物は、主に神社仏閣に提供されてきた。昔ながらの手織工場では、日々、四代目を継ぐ岡本圭司さんらが織機に向かう。
「従業員は全員親族。義父や叔父ら団塊の世代も、現役で活躍しています」と微笑むのは、四代目の妻であり、専務兼デザイナーを務める岡本絵麻さん。
今から約四半世紀前、この岡本家に嫁ぎ、夫となった圭司さんと一緒に家業に入った。ふたりが東京で出会った時は、絵麻さんはファィバーアートを、圭司さんは油絵を専攻する美大生だった。
「彼自身、当面実家に戻る気はなかったらしいのですが、大学を卒業したらどうするか話しているうちに京都行きが選択肢として挙がって、それも面白いかなと。伝統ある家柄だからと意識したり、あれこれ考えて躊躇したりはなかったですね」と、急展開の人生を語る。
この絵麻さんのフラットで臆することのないメンタルに加え、岡本家にもそんな彼女を快く迎える和やかな空気があったに違いない。
「私がほぼ核家族で育ったのに対して、こちらはとにかく親戚が集まる家。結婚式代わりの親族会でも、私の実家側の出席は10人に満たないのに対して、夫の親族は人数を絞ってくれたにもかかわらず40人以上になって。その親族の多さは面白いと思いましたが、顔も似ているし、何年かは見分けがつかなかったです(笑)。宴会中に謡をうたうおっちゃんもいて、新鮮な経験でした」と屈託なく笑う。
京都ならではの風習や生活習慣の違いを楽しみながら、馴染んでいった絵麻さん。
工房と職住一体の岡本家で生まれ育った圭司さんはもとより、絵麻さんもお母さまの仕事を通じて繊維に親しんできたことも、一体感をもって家業に取り組む力になった。
ふたりのものづくりへの思いは、徐々に様々なかたちで生かされていく。金銀煌めく西陣織ならではの美
とはいえ、絵麻さんは当初、西陣織については「綺麗だけど、面白くないな」という感想を抱いていたと打明ける。
「学生時代は自由な作品づくりをしていたので、仏事関係に特化して決まりごとの多い弊社の仕事とのギャップはありました」。
しかし歳月をかけ岡本織物の技術にふれるうち、そんな印象も変ってくる。
「弊社が手がけるのは、本金・本プラチナ・本銀など稀少な糸を使い、西陣独特の織技法を使った絢爛豪華な布地。西陣の中でも稀有な技術です。その魅力を実感するほどに、可能性を感じるよになりました」。
しかし神社仏閣用の製品では、岡本織物の名前を表に出すことはできない。
丹精込めて織り上げたどんなに美しい柄も、公開することができないのだ。「そこでオリジナルものをつくって、この美しい絹織物を一般の人にも提供したいと思ったのです」。
子育てや介護の合間を縫って2010年からオリジナルデザインの開発を進めるとともに、SNSでの発信を始めた。
やがて徐々に仕事にウェイトが置けるようになり、転機が訪れたのは2016年。
絵麻さんのデザインした生地を使った製品が、経済産業省のクールジャパン事業「丁he Wonder500TM」に認定されたのである。
「大きな励みになり、これで一気に道が開ける|と思ったのですが、そう甘いものでもありませんでした(笑)。この時に気づいたのが、誰も正しい売り方なんかわかっていないし、待っていても有効なアドバイスももらえない、とにかく自分たちで動かなければどうしようもないということでした」。
翌年には海外ビジネス販路支援事業でフィンランドに市場調査へ。
現地のトップーザイナーから、オリジナルテキスタイルの開発依頼も舞い込んだ。
発信力の高まりとともに注目される機会も増え、ファッションや小物、インテリアなど、ジャンルをまたいだコラボなどの声もかかるようになる。
心がけているのは、とにかく迅速に動くこと。
コロナ禍ではいち早く西陣織マスクを開発、高価であるにもかかわらずヒット商品として話題を集めた。
「もちろん、何もかも家族の理解とバックアップ、そして夫である社長の判断や助言がないと成立し得なかったことです。特に、社長は私と違って慎重派。ストッパーになってくれたおかげで、大失敗にならずに済んだことが多々あります」と感謝を強調する。世界に向けて、可能性を広げたい
フル回転で駆け抜けてきた日々を経て、あらためて強く思うのは「岡本ならではの生地の魅力を伝え、共感する人に活用してもらいたい」ということだと語る。
「弊社は人数も少なく、大きなロットも対応できませんが、『極楽』をイメージして織られてきた絹織物をデザイン・配色等から小ロットでフルオーダーすることが可能です。こういった魅力をアピールするとともに、お客様のニーズを見極め、私たちもまだ見たことのない西陣織の魅力を引き出していけたらと思っています」。
そのターゲットとして想定に加わったのが、世界の富裕層である。
今年7月には市場調査でサウジアラビアに赴き、手応えを得た。
高齢化・不況・原料高騰・職人不足等、今、厳しい時代を迎えている西陣織業界。
新しい風を吹き込む活躍に、期待がかかる。
「本当にどうにかしたいのですが、私たちももう50歳になりますし、あまり無理はせずに…淡々と楽しんでいきたいと思っています」。
気負わず謙虚に、チームワークを大切にしつつ、やるべきことに全力で取り組む。
そんなスタンスで積み上げる経験は、きっと着実な成果につながるはずだ。取り上げて頂いた岡本絵麻の歯医者さんの思い出。
「上の子どもが歯科矯正を始めた時、一緒に歯列嬌正に踏み切りました。毎回、調整後は痛くて流動食しか食べられなかったことが忘れられません。終了まで5年ほどかかりましたが、歯並びだけでなく肩こりもよくなりました」
歯が内側に傾いていて、舌に当たり痛い為、35歳の時に歯列矯正を始めました。大人になってからの歯列矯正は強烈にきつかったです。個人的には歯列矯正は歯が固まらない子供のうちに済ませるのが理想だと感じました。
取材に来てくださった株式会社松風の槙谷みゆ紀様、株式会社ビジョンクエストの荒木良二様、コピーライターの森本朕世様、とても良い記事にして下さってありがとうございました。