こんにちは。
京都の織屋、西陣で金襴を織っています岡本織物でございます。
皆様、皐月のラストフライデー、健やかにお過ごしでしょうか。
もう、来週は6月だなんて。水無月作らないといけません。京都では6月になると水無月というお菓子を頂くんです。夏越祓(なごしのはらえ)という夏を越す為の行事があるのですが(もう5月でもいいかもしれません)6月の末に色々な神社で行われる夏越祓。
これは京都御所の西側にある護王神社の夏越大祓の様子です。「茅の輪くぐり」という茅を束ねて作った輪を潜って夏の息災を祈ります。護王神社でも水無月をいただけます。
これを頂いて夏に備えます。家庭でも簡単に作れますし、和菓子屋さんではどこでも買い求められます。ああ、夏が来る・・・。というかもう来ています。
今日の西陣の織屋の神社仏閣見物は大阪商工会議所の南側にあります若宮商工稲荷神社について。
お稲荷さんは商売繁盛の神様です。大阪商工会議所なんて日本の西の商売を司るところですからお稲荷さんを祀ってもなんら不思議がありません。
異色なのが門前に並ぶ銅像。手前から大阪商工会議所初代会頭の五代友厚、第7代会頭の土居通夫、第10代会頭の稲畑勝太郎。
初代会頭の五代友厚さんとは明治維新を経験してはる薩摩男児。記録奉行を父とし、江戸後期に長崎へ行って航海術び薩摩藩の密命をおびて上海に潜航して軍艦を購入し艦長となったというこの銅像の見た目の柔らかそうなところからは想像できない中々の男前。記録奉行というその家業から14歳の時に父親から見せられた藩主・島津斉興がポルトガル人から入手した世界地図。友厚は父からこの世界地図の複写を命じられました。その地図の複写が彼の世界を広げたのでしょう。その後も(維新前)ヨーロッパを巡遊し商工事業を研究、帰藩してから薩摩藩の商事を運営し、長崎に初めてのドックを設けたそうな。素晴らしいですね。維新後は大阪経済界の重鎮の一人として大阪経済を立て直すために、商工業の組織化、信用秩序の再構築を図らはりました。この像では右足を半歩前に、右手のひらを上へ出して示現流(薩摩藩で伝わる古流剣術。チェストーーッ!(示現流の心構えの一つ「知恵を捨てよ(無心になれ)」という言葉が変化してチェストになったとか)という言葉が掛け声として変化したと気合を入れるので有名)の形でいつでも抜刀できる姿勢。
今や朝の連続テレビ小説「あさが来た」にお洒落な異国帰りの経済人として出てはりますね。「小説 土佐堀川」を読んだのですが、細かい部分に違いはあると思いますが五代友厚さんはこの銅像のようにとてもしゅっとした良い男だったんだなあと想像しています。激動の時代だからでしょうが能力のある人はほんまに能力を思う存分発揮できたんでしょうね。
実は見れる限り「あさが来た」を観ているのでこれからの明治から大正の大阪経済の動きが楽しみです。
土居通夫さんは江戸時代に宇和島で生まれた方。維新後、司法官になり、その後、大阪の豪商である鴻池家の顧問から財界入り。阪電灯,長崎電灯,京阪電鉄などの社長を歴任しインフラ整備を実施。大阪・新世界で開催された第5回内国勧業博覧会(明治36年)の誘致・開催などで大阪発展の元となりました。
稲畑勝太郎さんは、稲畑染料店の創業者で染料、染色業界に強いお方。フランス留学の経験を生かして大阪の国際化に大きな貢献を行いました。日本で初めてシネマトグラフ(撮影と映写の機能を持つ複合映写機)を輸入して映画興行しました。出身は京都の烏丸通御池東南角。今は大きなビルになってますね。小学生の時から優秀な子供だったらしく京都府下の小学生の中からの選抜で明治天皇の前で日本外史の一節を読み、褒美としてコンパスを贈られたらしいです。軽く書きましたが明治の人にとって天皇陛下は神様ですから!すごく大変な事だったと想像できます。
商工会議所のお稲荷さんだけに、なんとなく男性的なお稲荷さん。
初代会頭の五代友厚さんが大阪商工業の発展を祈り祀った「商工稲荷神社」というお稲荷さんがありました。昭和46年に中之島から現在地へ移転するに伴い昭和40に移転先の現在地の建設用地内にあった「若宮稲荷神社」のご神体と合祀されて建立されたものです。
上の画像はお母さん狛犬。お母さん狛犬もお父さん狛犬もまるまるしていて可愛いです。この狛犬たちは合祀される前の「若宮稲荷神社」の頃からある狛犬で両方とも角の無い獅子型の像。(一般に神社の狛犬は角の無い獅子型と角のある狛犬像で一対らしいです。そうでしたっけ(汗・・))お父さん狛犬は口の中に勾玉、台座には巻物、瓢箪の彫刻という事でお父さんは「商売・知識・学問・商売繁盛の守護」でお母さんは安産祈願、家内繁栄の狛犬さん。
子狛犬がじゃれついています。
さすが大阪の商売が集まっているだけあって、金銭的な不安は無いと思われます。注連縄もすべて綺麗。
神社やお寺のお世話って大変だと思うんです。古い文化を守るのにはお金と手間が掛かります。綺麗に保たれているとそのご苦労などが偲ばれます。
お賽銭入れがあまりに細くてびっくりしました。商工会議所なんだから札束入るかもしれへんやん!もっと分厚くしておかな~。
私ももちろん、弊社の商売繁盛を祈ってきました。あ、商工会議所の会員とちゃうけど・・・。
西陣の西陣織屋で金襴を日々織っています岡本織物、身近に金襴製品を、という思いで「西陣織 正絹金襴印鑑ケース」を作りました。どうぞご覧下さい。
テーブルランナーを飾り台などに掛けていただき生活に輝き☆を
素敵な香りと本金のきらめきを胸元や袂、ポケットに潜ませてと言う思いで作りました。匂い袋でございます。
今日の織屋の賄いは、たまごコロッケ、人参とごんぼさんのきんぴら、その他諸々でした~。