西陣織を携えて、中国・デザイン上海へ出展
2025年6月、京都・西陣から中国・上海へ。 私たち岡本織物は、日本のものづくりを世界に届けるプロジェクト「Beyond Craft Japan」の一員として、西陣織金襴を携え、アジア最大級のデザインイベント「デザイン上海」に出展しました。
今回のブログでは、展示会の記録とともに、渡航前に準備しておくべきことや現地での体験を、備忘録としてまとめておきます。
中国渡航前に準備しておくべきこと
まずは、展示会以前に必要だった準備について。 中国では現金やクレジットカードが使えない場面が多く、バーコード決済が主流です。以下の準備が必須でした。クレジットカードを使えたのは空港のコンビニのみでした。
中国渡航で最低限必要なアイテム
- パスポート(有効期限6ヶ月以上)
- スマートフォン これは飛行機のEチケット、バーコード決済、翻訳アプリに必要です。
- スマートフォンは海外ローミングを可能にしておくか、中国で使えるeSIMかポケットWi-Fi。中国のWi-Fiではグーグル系、LINE系にログインできません。WechatとAlipayなら中国のWi-Fiでも使えます。中国の方とだけ連絡を取るのならそれでも良いかも。
- WeChat(微信)とAlipay(支付宝)のインストールと本人確認をしておくこと。
- 中国では名刺交換の習慣がありません。すべてWechatのアカウント交換です。なので、交換した相手がどこの会社に所属しているのか全然わからず今でも混乱気味です。というか、中国では会社に所属しているというより「その本人と仕事をする」という感覚なのかな?と思いました。
- 買い物・タクシーなどすべてのバーコード決済にWechatかAlipayを使いました。クレジットカードを紐づける際、カード会社に「中国へ渡航する」と事前連絡しておくのが安心です。クレジットカード、現金は使えない可能性が大です。
- 私は連絡を忘れて漢方薬を粉にしてもらった後の支払い時にクレジットカードが止まり、冷や汗をかきました…。お店の人が「これ、支払えなかったらどうするの?もう粉にしちゃったよ」と怒っていました。結局なんとか日本のカード会社に連絡を取り解除してもらいました。
- クレジットカードは3枚まで登録可能。なぜか使えないこともあるので、複数登録をおすすめします。同じ場面で、通常使えるアメックスは使えないのにVISAは使えるなど不思議なこともありました。WeChatでは支払えないのに、Alipayでは支払えることもありました。
- そんなに高額な決済ではないのに(例:6万円)決済できないことがあり、現地の知人に立て替えてもらった経験もあります。帰国してから建て替え支払い請求書を発行してもらって支払いました。知人がいない場合の対策は要検討です。
- DiDi(滴滴出行)でタクシーを呼ぶには、行き先を中国語で入力する必要があるため、現在地と目的地の中国語表記を事前に用意しておくと安心です。地名のコピペで乗り切りました。
- 翻訳アプリ(Google翻訳やDeepL)も使えると便利です。
- 2024年度の中国への渡航ではVISAが必要で、大阪まで2日かけて取りに行きましたが、2025年6月には必要なくなっていました。
とりあえず、パスポート・スマートフォン・WeChat・Alipayがあれば、なんとかなります。私は4回の渡航で一円も両替をしませんでした。
展示会場への到着と搬入
2025年6月3日、関西空港第一ターミナルからANA便で上海浦東空港へ。 到着後は後述する百年匠人さんが迎えに来てくださり、展示会場である上海世界博覧会展示コンベンションセンター ホール2へ直行できました。

ここで「Beyond Craft Japan」への搬入が始まります。
会場には、日本を代表するものづくりの職人たちが集まり、それぞれの技術や美意識を活かしてブースを彩りました。

当社はものづくりでも「伝統工芸」のくくりで出品しました。
- 越前和紙 杉原商店 https://www.washiya.com/
- 京表具 弘誠堂 https://kyo-hyougu.com/
- 京絞り 京都絞美京 https://kyoto-shibori.com/
- 金箔押山村 https://yamamura-goldleaf.com/
- 反物 江村商店 https://www.emura-shouten.com/
- 京家具 京洛工芸 https://kyoraku-kougei.com/
- 西陣織 岡本織物 https://www.instagram.com/nishijin.okamoto/
こちらは伝統工芸をブラッシュアップしてお届けしている上記メンバーでのブースです。越前和紙 杉原商店、京絞り 京都絞美京、金箔押山村、反物 江村商店の皆さんと2ブースを共同で使用し、準備を進めました。
伝統工芸の魅力を最大限に伝えるため、各社が限られたブースの中で工夫を凝らした展示を準備しています。
中国と日本の架け橋「百年匠人」
今回の搬入と展示では、「百年匠人」という中国と日本をつなぐ工芸ネットワークさんがサポートをしてくださいました。特に社長の許虎さんには大変お世話になりました。
おかげで会場への搬入もスムーズに完了し、展示準備も安心して進めることができました。

展示会の搬入も完了し、投宿するホテルへ向かいます。
滞在先:上海白金漢爵大酒店
宿泊は、百年匠人社長の許虎氏の知人が関わる「上海白金漢爵大酒店(大零号湾国際会議中心店)」
ロビーには「百年匠人」への歓迎メッセージが掲げられ、ホテルからの心温まるおもてなしに感激しました。
このホテルは、長江デルタ地域で「尊貴、不昂貴(高貴で高価ではない)」というコンセプトで知られています。本当に何から何までびっくりするホテルです。とてもきれいで広く、お風呂も快適。おすすめです。私は上海に泊まるたびにこちらのホテルです。展示会場からは車で1時間くらいかかりますが、町中の高くてお風呂のない狭いビジネスホテルに泊まるか、ちょっと遠くても快適なホテルに泊まるのか悩ましいところですね。
- 所在地 No.1577 Humin Road, 閔行区, 上海, 中国, 上海闵行区沪闵路1577号
- 電話番号 +86-21-31858888
上海白金漢爵大酒店にて百年匠人社長の許虎氏の友人から歓待を受けました。ありがとうございます。
西陣織を世界へ
今回の出展を通じて改めて実感したのは、西陣織は単なる織物ではなく、日本の美意識と精神文化の結晶だということです。
西陣織は、かつて西方よりシルクロードを通り、中国から伝来した技術をもとに独自の進化を遂げてきました。今回こうして再び中国でその魅力を伝えていくことは、何か大きな巡り合わせのようにも感じられます。
このブログでは伝統工芸のデザイン上海での展示とともに、今回の滞在は、展示だけでなく現地の方々との交流や日常のひとコマまでもが「伝えること」の一部だったと実感していったことを書いていきます。 次回のブログでは、展示会初日の様子をお届けします。
読んでいただけたら嬉しいです。