展示会3日目|西陣織の可能性とアマンへの訪問
西陣織への関心、再び高まる展示会場
6月6日は展示会3日目です。昨日に引き続き、デザイン上海の会場は朝から熱気に包まれていました。展示会は有料(入場料は108元〜)にもかかわらず、絶え間なく続く来場者の列に、私たちのブースも終日大賑わい。 とりわけ、日本の西陣織に対する反応は非常に好評で、繊細な織りや技術への質問が相次ぎました。
下の動画は小紅書(RED)へ投稿したものをInstagramへ再投稿したものです。
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来場者の中には、「小紅書(RED)」やどなたかのWechatで発見して来てくださったという方も多く、SNS大国中国でのSNSでのつながりが次々に生まれていきました。日本で知り合った中国の方が私について書かれた記事をWechatで発見して会いに来てくださるという嬉しいこともあり、リアルとオンラインの融合を体感する一日となりました。
メディア・インフルエンサーによる取材も活発に
3日目も、中国国内のメディアやインフルエンサーによる取材が引き続き行われ、特に西陣織の歴史的背景や現代的アプローチについて多くの質問を受けました。
伝統的な技術を継承するだけでなく、新たな表現を模索する姿勢に共感を持っていただいたようで、「どうやって伝統工芸をブランド化したのか?」「どんなプロジェクトで西陣織を使っているのか?」といった視点に中国のクリエイティブ層の関心の高さを感じました。
アマンヤンユンと“再生された美”の体験
14時、ブースを抜け出して、アマン上海(アマンヤンユン)へと移動。これは、アマンから特別にお声がけいただいた見学会で、まさにこの旅のハイライトのひとつでした。

下の動画はアマン上海のエントランスです。広々とした芝生に楠が点在し、落ち着く空間となっています。
アマンヤンユンは、マー・ダードン(馬達東)氏が主導した「文化遺産再生プロジェクト」によって誕生した上海のラグジュアリーホテルです。 かつてダム建設により水没の危機にあったマー・ダードン(馬達東)氏の故郷、江西省にあった明・清朝時代に建てられた伝統家屋群を移築し、樹齢2000年の楠を筆頭に10,000本もの楠の森とともに再構成された“人工的な自然と歴史の融合空間”です。
以下がホテルで拝見したこのプロジェクトを語る記録映画です。たくさんの苦難を乗り越え伝統を保存していこうという決意を感じ、とても感動しました。記録映画をスマホで撮影したもので、画面に人影が入っていますがご了承ください。
その敷地には、アートコレクターやアーティスト向けのギャラリー併設ヴィラが点在し、価格はなんと平均一棟約40億円。各棟にはアート作品や伝統工芸がふんだんに取り入れられ、その空間美には思わず息をのむほどでした。
私たちもその一部を見学しながら、西陣織をインテリアやアート作品として活用する可能性について探る機会を得ました。 たとえば、壁飾りやタペストリー、ソファ張り地に取り入れることで、“布の美術”として空間に温もりと物語性を加える提案も見えてきました。
移動はもちろんカートでとなります。広くて気持ちの良い空間でのカート移動には、展示会に一緒に行っている仲間たちと大喜びしました。
夜のひととき:外灘でウイグル料理と反省会
アマンヤンユンでの豊かな経験を胸に、夕方は百年匠人さんがモノづくりの面々を上海の名所・外灘(バンド)へ連れて行ってくださいました。
歴史的建築と近代的な夜景の対比を楽しみながら、新疆ウイグル料理店でディナーを頂きました。ウイグル料理はイメージしていたよりも重くなく(羊料理が多そうなのでスパイスたっぷりで濃い目の味付けだと思っていました)、塩味も薄く、日本人の舌にもとても合いました。ラム肉の串焼きやニンジンチャーハンなど、体にも優しく、展示会の疲れも癒されました。
ホテルに戻ったあとは、日本の展示会チームで軽く反省会を行い、今日一日の感想を共有しながら深夜に就寝。
西陣織が語る“伝統の未来”
今回、展示会というビジネスと文化が交差する舞台に立ち、さらにアマンヤンユンという極めて美意識の高い空間を訪れたことで、西陣織が持つ国際的な可能性を改めて認識しました。

織物としての美しさを超え、空間やストーリー、ライフスタイルと響き合う「布」として、これからさらに多くの国へ、感性へと届いていってほしい。そんな願いとともに、展示会3日目を締めくくりました。
次回は、展示会最終日の様子をお届けします。ぜひ引き続きご覧ください。