こんにちは。
京都の織屋、岡本織物です。
今日の西陣金襴織屋の「金襴を探してさまよっているんだけど市井で使われている金襴が中々見つからないから京都っぽいものや神社仏閣、お地蔵さんをご紹介してるブログ」は京都洛西に位置する島原。
島原と言えば、格の高い事で有名な花街。今でも「太夫」がおられます。花扇太夫、司太夫、如月太夫。
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昔は火事が多かった事でしょう。火の用心の心がけを。
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角屋は花街・島原を代表する揚屋(料亭)。昭和60年まで営業してはりました。
島原は日本最初の官許の花街で、二条柳馬場にありました。その後六条三筋町から島原へを引越ししています。
正式な地名は「西新屋敷」と言うのですが、急な移転騒動がその当時九州で起こった「島原の乱」に似ていると言う事から島原と呼ばれるようになったそうです。
島原には揚屋と置屋がありました。揚屋は妓を抱えず、置屋から太夫や芸妓を呼んで宴会を催す場所でした。揚屋というのは「お茶屋」と違って自前の料理を出します。祇園等で有名な「お茶屋」は自前の料理を出さずに仕出しを頼みます。
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↑の写真が角屋の前景。ええ建物です。島原の角屋は日本に唯一残っている「揚屋建築」として重要文化財に指定されています。
江戸の一流どころが出入りした事から一流画人の作品も多く残っています。
江戸中期には俳壇が形成される等文化サロンとしての役割も担い、幕末には勤皇の志士、新撰組等の護幕組織の出入りもありました。
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今は角屋もてなしの文化美術館として一部を公開しています。台所から入っていきます。りっぱなおくどさん(竈(かまど))
角屋は揚屋です。
京の島原と大阪新町に明治まで揚屋はありました。江戸の吉原では宝暦年間に完全に消滅。
揚屋は宴席のみならず文芸の席やお茶の席等の文化サロンとしても重要な位置にあったようです。
等から遊郭としては位置づけられません。概観も町家の形で吉原の牢屋のような格子造りではありません。
新撰組等が勤皇派の探索に来ましたが、その格の高さゆえ乱闘等はありませんでした。
二代目の臥龍松(がりょうのまつ)。立派!↓はお茶室。半分は壁が無い吹き抜けのお茶室だそうです。この庭の辺りに3室ほどお茶室があるそうです。
揚屋建築の特徴
揚屋建築とは饗宴のための施設と言う事から大座敷に面した広庭に必ずお茶席を配するとともに、お寺の庫裏と同規模の台所を備えていることを重要な特徴としています。と言う事で角屋にも大きなお台所と、大きなお庭にお茶室。
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↓お茶室。風流人が好みそうな、素朴な感じです。
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松の間(大座敷)
広さ43畳。角屋で一番広い大座敷。残念な事に大正14年に一部を消失、再建して元に戻ったけれども「再建」の為、重要文化財指定されていません。
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↑松虎図 越前介岸駒筆
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↑欄間が可愛いんです。ぼけてしまったけれど、昔の薄暗い宴会で行灯、蝋燭を沢山置いてそのゆらゆらする影と光はさぞや美しかったんでしょうね。酔いも早そうです。下の画像は逆光で眺めたところ。
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この画像は床の間を瀬に広庭を眺めたところです。宴会の正客が眺めていた図です。
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襖絵
「金地桐い鳳凰図」幕末の絵師「岸連山」によるが戦後になってからこの座敷に用いられました。
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違い棚の唐紙のかわいらしい事
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薩摩剛毅筆「蓬壺生春酒」
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↑これはケヤキの一枚板。すごい!!板大好きなんですが、いい板ですねえ。
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各所の釘隠しもかわいらしい。
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日本建築は光が美しいですね。いや、光と言うより「影」が美しい。我が家も窓は障子です。そこに木陰等が漣立つ時の美しさったら・・・。障子っていいですねえ。
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網代の間ですからね。立派な網代がこれでもかというくらい使用されています。
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中庭も素敵。この日、暑かったんですが・・・、目に涼しやかです。
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来客用の玄関
敷石は斜めに伸びてその両側に鴨川真黒(鴨川で採れる黒い石)を並べてあります。正面は杮葺の庇と敷台。↓入ってすぐにはお客から預かる刀たんすがあります。
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一旦預かって上の刀台に置き、下の刀箪笥に納めます。大刀のみで脇差は持って入ってよかったみたい。
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↑こちらは客室ではなくてたぶん、店の者が使用する場所。帳簿台があったり向こうには台所があります。
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商売しているものは信心深い。神棚。下は布袋さん。三宝荒神の眷属とされて、円満な人格、広い度量、富貴繁栄をつかさどると言われています。その背に背負っている袋は「堪忍袋」とも言われています。
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井戸と流し。おくどさんも立派。営業中はさぞや賑やかだったんでしょうね。
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お餅も沢山ついたり。
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この白いおくどさんは三宝荒神さんとして台所の神様を祀る飾り竈なので使われてはいないそう。
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↓柱に残った新撰組の刀傷
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今は使われてない正門。↓上部にとっても変わった御札が貼られていました。一体どこのお札でしょう。気になります。
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↑この地下への階段は貯蔵庫への階段です。冷蔵庫代わりに使われていたそうです。
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防火用水の石桶も大きい。と言う事で、私の角屋見学はお開き。予想外の時間が空いてしまって、いきなり寄ったので予約できてなかったんです。予約しておけば二階の見学も出来たのに~。いかはる予定の方は是非電話予約で二階の見学も予約してくださいませ。
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↑こちらは島原大門と角屋の真ん中くらいに位置する「輪違屋」さん。今でも営業されているお茶屋兼置屋さん。「一見さんおことわり」の「観覧謝絶」の札が出されてて私のような庶民はこれ以上近づけませんでした。浅田次郎の『輪違屋糸里』が中々面白うございました。
角屋の見学をじっくりしてしまい、島原内をじっくり見て歩く時間がのうなりまして、残念ながら町並みはざざっと見ただけでございます。西陣から滅多に出ないので島原なんて中々行くチャンスがありません。ぶらぶらあるいたら町並みが面白そうだなあ。今すごい勢いで古い家が建て替えられているので早いうちに見学行かねばどんどん雰囲気がなくなってきますね。