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西陣に伝わる伝統技法 引箔|未来|西陣岡本「は」

私たち西陣岡本では創業期より「本金引箔」という技術を使って豪華絢爛な西陣織金襴を織ってきました。3回に分けて引箔の「いろは」について書いてきました。

今回は「は」です。

西陣に伝わる伝統技法 引箔|未来

西陣織の特徴

西陣織は、日本が世界に誇る伝統工芸の一つです。その最大の特徴は「先染め織物」であり、糸を先に染めて色分けして織ることで製織した際の色と質感の深みを出します。西陣織の商標をもつ西陣織工業組合によると「西陣織」として認められている技法は12種類。

12種類の詳細についてはこちらのページから

西陣織の未来への模索

技術革新と伝統

西陣織は、伝統的な技法を守りつつ、地機が空引機に進化し、ジャカードを備え、動力織機、紋紙のデータ化等、常にブラッシュアップしてきました。

下記動画は2022年に平安時代から明治時代まで使われていた「空引機(そらひきばた)」が西陣織会館で西陣呼称555年記念事業として復元された模様です。当社の社長も復元に参加しました。

織機について

当社ではシャットル織機を使い、絹糸を使用する昔ながらの製織を守っていますが、西陣全体でみると、フクオカ機業さんでは、炭素繊維とアラミド繊維を組み合わせ、意匠性のある特殊織物を開発、新規事業「カーボンファイバー事業」を立ち上げに挑戦されたり、ガラス繊維やペットボトルを原料とした再生糸を使用した織物にも取り組む等と、各社新素材の使用も進んでいます。

当社は「絹に特化していく」という事で使用しているのは絹糸です。やはり絹糸の美しさを弊社では守っていきたい。

どこの織屋さんでも悩んでいるのは、時代に合わせて150㎝などの広幅の織物を織りたいが、その織機はレピア織機などの高速織機になってしまうという事です。弊社は低速のシャットル織機での織物を守っていきたい。なぜ低速のシャットル織機にこだわる理由は下記に書きます。その為にありとあらゆる方法で手機と力織機の整備をしています。しかり、シャットル織機で150㎝幅の新品が欲しい、シャットルを愛する産地さんが集まって、「新品のシャットル織機を開発するぞプロジェクト」など立ち上げたいと願っています。

当社が低速のシャットル織機にこだわる理由

織物は経糸と緯糸でなりたっています。低速織機の経糸の張度(テンション)は高速織機のそれと比べてゆるい。そしてシャットルで織る事で緯糸を入れる時に自然と緯糸に山が出来る事で緯糸にゆるみが生まれます。レピア以降の高速織機では緯糸がまっすぐに入るためにゆるみなく織れます。これは使用する製品によってそのゆるみが必要かどうか変わりますが、シャットルで織る事で当社のような高級西陣織金襴に必要なゆったりとした「むっくり感」を織る事が出来ます。縫い取りなどのその紋様部分だけを織る事もシャットル織機では可能な為、当社の絹織物に関して言えば、質を守るために低速で織るシャットル織物は必要不可欠となります。

次世代への継承

西陣は分業制。次世代へ続けていくために私たち織元が生き残るだけではなく、分業制の職人たちを守っていく必要があります。当社が単体で実行出来ることではなく、西陣全体で考えていく必要がある、と西陣織工業組合では京都市産業技術研究所などと協力し合い、枯渇部品対策等もすすめています。

私たちは積極的にインターネットを通じて西陣織の魅力を発信し、展示会などにも出展、幅広く知っていただき、特に若い人たちに西陣織の存在を知って頂きたいと活動をしています。当社では積極的に見学などは募集していませんが、学生さんなどから見学申し込みもあり、若い人が興味をもってくれることに嬉しい思いです。

西陣織が世界市場へ

西陣織金襴が世界のファッションやインテリア市場でどのように受け入れられているか、当社の事例を年代に合わせてご紹介します。

弊社の西陣織金襴が神社仏閣以外の市場で受け入れられ、進化しながら展開されてきた事例をご覧ください

2016 The Wonder 500™ 扇形バッグ 西陣織 金襴 正絹

2016年 The Wonder 500™認定

当社独自のデザイン、扇形バッグを評価いただきました。「The Wonder 500™」とは、”世界にまだ知られていない日本が誇るべきすぐれた地方産品”を発掘し世界に広く伝えていく地方発クールジャパンプロジェクト

フィンランドは美しい国

2017年 フィンランドのテキスタイル企業視察

「海外ビジネス戦略推進支援事業」に採択していただき2017年1月に「フィンランド」へ市場調査に赴き、ヘルシンキの主要テキスタイル企業を全て訪問視察してきました。

〈西陣岡本〉×ZANELLATO

2017年 ザネラートとのコラボレーション

イタリアンブランド 「ZANELLATO(ザネラート)」とのコラボレーションを実現。NINAの裏地に当社の緞子地が採用されました。デザインは当社テキスタイルデザイナーオリジナルの「ひなぎく紋様」。イタリアでひなぎくが広く愛されているという事でひなぎく(デイジー)を紋意匠化しました。

光る山

2018年 「ジャポニスムの150 年」展 at パリ装飾美術館

炭酸デザイン室×西陣岡本の共同制作「光る山」がパリ装飾美術館で開催される「ジャポニスムの150年」展へ選定。炭酸デザイン室がデザインを担当、当社は紋意匠と製織を担当しました。

キタキカク 西陣織 クラッチバッグ モンステラの寄せリボン

2018年「おもてなしセレクション」を受賞

西陣岡本×キタキカクの「きらめくクラッチバッグ」がOMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)を受賞。日本の優れた“おもてなし心”あふれる商品・サービスを発掘し、世界に広めることを目的に、2015年に創設されたアワード。キタキカクの独自性あふれるバッグのデザインが当社の絹地とマリアージュ。

ゴールデングローブ賞 西陣織の金色のドレス レッドカーペット

2019年 ゴールデングローブ賞

フィンランドのデザイナー Mr.Teemu Muurimäkiとのコラボレーションのドレス。フィンランドの女優、Ms. Laura Birn金色に輝くドレスでGolden Globe Awards(ゴールデングローブ賞)へ出席

〈TIE YOUR TIE〉のアイコニックモデルと西陣織のマリアージュ

2019年 TIE YOUR TIEとコラボレーション

イタリアの老舗ネクタイブランド、TIE YOUR TIE、日本企業と初のダブルネームとして当社とのコラボレーションでセッテピエゲネクタイを発表。今すぐ購入

西陣織 金襴 HIROMI ASAI

2020年 NYFW 2021

HIROMI ASAI AW21

「西陣織金襴虫紋様」「西陣織金襴アフリカ紋様」を選定頂きました。

Mr.Teemu Muurimäki 西陣織のイブニングドレス

2021年 Design Museum HelsinkiIntimacy

ヘルシンキデザイン美術館にて〈Intimacy〉が開催。Mr.Teemu Muurimäki氏による西陣織金襴三階菱紋様のドレスを取り上げていただきました。

MAISON & OBJET AND MORE)

MAISON & OBJET AND MORE出展

Laureline Galliot Studio YAGASURI

西陣織金襴 Laureline Galliot Studio YAGASURI フランス国立デザインコレクションへ収蔵。

西陣織 金襴 リヤドの思い出

西陣織 金襴 リヤドの思い出

リヤドのマスマク城を訪れた夏の夜の思い出と京都の石垣をイメージして描いたデザインを西陣織で現わしました。

フィンランドの現代ファッション展

「フィンランドの現代ファッション」展

Mr.Teemu Muurimäki氏による西陣織金襴三階菱紋様のドレスを取り上げていただきました。

私たちは、引箔製品を海外国内市場共に認知していただくため、日々努力を重ねています。

私たちは毎日引箔製品を織っています。

しかし、実は、私たちは「引箔製品」が高価格すぎて一般市場に受け入れられないと考え、お客様に対して遠慮していました。2012年から販路開拓を始め、10年間アパレル業界向けに提案を重ねてきましたが、業界の壁の高さに販路開拓を諦めかけていました。高級ブランドでさえ、メートル単価3000円の布地は滅多に使えなく、当社の絹織物はメートル単価2万円を超えるという現実があります。当社が価格を下げても、品質が劣化することに私たち生産者自身が失望する一方で、市場にとっては依然として超高価格であるという壁が立ちはだかっていました。そうした中、「引箔」のような超高価格の布地は受け入れられないだろうと考えていました。

しかし、諦める前に、自信を持って愛してきた引箔製品をリニューアルし、2023年に発表したところ、高価格にもかかわらず、市場から温かい受け入れをいただきました。

引箔を初めてご覧になった方々からは、「こんな布地は初めて見た」との声をいただき、西陣織金襴引箔が織りあがるまでの動画などを作成して説明を重ねた甲斐があったと感じています。

このブログ「西陣に伝わる伝統技法 引箔|未来 引箔「ろ」」では、まだ一般市場での引箔販売の経歴については触れていませんが、今後「引箔の現在」について続々と報告できることを楽しみにしています。

過去の技術を現在につなぎ、未来へと進んでいくために、当社の報告を温かく見守っていただければ幸いです。

西陣織がこれからも多くの人々に愛され、その伝統が未来へと受け継がれていくことを願っています。

私たちは、西陣織が単なる長い歴史を持つ伝統工芸ではなく、これからも進化し続ける生きた文化であることを、これからの世代に伝え、持続可能な産業にしていきたいと考えています。

*弊社のオンラインストア掲載の品等、通常製品は引箔ではなく、銀ベースの金糸などを使用しています。

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